#11 あらゆるシーンにマッチする究極のジーンズ『ラングラー』
ラングラー看板

2024.3.6

あらゆるシーンにマッチする
究極のジーンズ『ラングラー』

佐藤 誠二朗さんメンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新」が発売。
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

作業着メーカーとしてのスタート

アメリカのカウボーイやロデオライダー向けジーンズとして誕生したラングラー。
リーバイス、リーと並び、“アメリカ3大ジーンズブランド”のひとつに数えられていることでも有名です。
ラングラー創業の年は、今からちょうど120年前の1904年。
それではまず、その長い長い歴史を紐解いてみましょう。

20歳の若者C.C.ハドソンが富を求め、故郷であるテネシー州ウィリアムソン郡のスプリングヒル農場を後にしたのは1897年のこと。
繊維産業で栄えつつあった新興都市ノースカロライナ州グリーンズボロに向かった彼は、とある繊維工場に職を得て、1日25 セントという安い給料でボタンを縫い付ける仕事を始めます。

しかしその工場が1904年に閉鎖してしまったため、彼は数人の工場仲間とお金を出し合い、何台かのミシンを購入します。
そして弟のホーマーとともに“ハドソン・オーバーオール・カンパニー”を設立。
その会社が、ラングラーの前身です。

同社は創業以降、作業服のオーバーオールを主力商品として打ち出し、売り上げは好調に推移。1919年にはより広い社屋に本社を移転し、社名も“ブルーベル・オーバーオール・カンパニー”(以降、ブルーベル社)と改めました。

1936年には収縮率を1%未満に抑えた防縮加工素材を採用した画期的な商品、『スーパー・ビッグベン・オーバーオール』を発売し、業界の新しい標準を確立します。
商品名に“ビッグベン”とありますが、ブルーベル社は1926年に、ケンタッキー州の作業服メーカー“ビッグベン・マニュファクチャリング”と合併していたことによります。

しかしここまでは、言うなれば作業服ブランドである“ブルーベル”と“ビッグベン”の歴史。
カウボーイ向けのジーンズブランド“ラングラー”の歴史は、この後にようやく始まります。

ラングラー①
photo: Infrogmation of New Orleans/flickr

全米ナンバーワンのジーンズブランドに

1943年、ブルーベル社は作業服メーカー“ケイシー・ジョーンズ・カンパニー”を買収し、同社が以前より保有していたブランド名“ラングラー”の使用権を取得します。
そして第二次世界大戦終結後の1947年、ハリウッド西部劇の衣装デザイナーも務めていた有名テーラーのロデオ・ベンを招聘し、彼がデザインしたラングラーとしての初商品、オーセンティックスタイルのウエスタンジーンズ『11MW』をリリースします。
発売に際しては、プロのロデオライダーたちが着用テストを行い、耐久性、品質、信頼性についてお墨付きを与えたといいます。
『11MW』、そしてその後継モデルとして1964年に誕生した『13MWZ』は、現在もラングラーの大定番として高い人気を誇っています。

ロデオ・ベンがデザインしたラングラージーンズの特徴は、乗馬の際に鞍(サドル)に傷をつけないよう、従来のジーンズ最大の特徴であった、リベットの突起をなくしたこと。
また、サドルに座った状態でも楽なように、股上を深くしてあることなどが挙げられます。
そして大きなバックルがついたウエスタンベルトを装着しやすいよう、前面のベルトループの幅は広くなっていました。

こうしたラングラージーンズの特徴は、それまでは作業着でしかなかったジーンズに、初めてファッション性を取り入れたと言われていて、オリジナルスタンダードの『11MW』や『13MWZ』、『13MWZ』のスリムタイプで、ファッション性をより重視した『936』などが当時の若者の心をとらえます。
また 1951年発売のGジャン『111MJ』は、ジョン・レノンが愛用したことでも有名です。

カウボーイやロデオライダー向けなので、ラングラーはいかにもアメリカンなジーンズブランドであることは間違いありませんが、ブルーベル社は1962年にベルギー工場を開設し、ヨーロッパでの展開を開始します。
その手始めとして1963年に発売した14オンスのウエスタンジーンズは、「これまでに作られた中で最も重いデニム」=超頑丈なデニムとして、世界的に注目されるようになります。

1986年、ブルーベル社はペンシルベニア州の“VF コーポレーション”と合併し、リーバイスと並び世界2大ジーンズメーカーのひとつとなりました。
そして1996年には米国ナンバーワンの市場シェアとなり、米国の男性の4人に1人は ラングラージーンズを着ているほどのブランドとなったのです。

ラングラー②
photo:Mark Gunn/flickr

今こそ注目したいラングラーのアイテム

さて、そんな歴史を持つラングラーですが、ぜひ注目していただきたいアイテムがあります。
それは1960年の誕生以来、ラングラーの名作パンツとして、時代を超えて愛されてきた『ランチャードレスジーンズ』。

【ラングラー】
【ラングラー】

このパンツの最大の持ち味は、過剰ではない絶妙なフレアシルエットとセンタープレスにあると言っていいでしょう。
この二つの特徴が抜群の脚長効果を生み出し、履くだけで美脚を描ける魔法のようなパンツとして、長く支持されてきました。

そもそもこのパンツは、“ドレスジーンズ”という商品名や、センタープレスからも窺えるように、1960年代のカウボーイやロデオライダーたちが、パーティなどで着るために開発された、正装用のおしゃれパンツ。
当時のカウボーイたちは、パーティでもそのアイデンティティであるウエスタンブーツは必ず履いていたので、ブーツに被せても美脚を描ける絶妙なフレアシルエットが考案されたのだそうです。

60年以上の歴史を持つこのパンツを今こそ推したい最大の理由は、まさにそのシルエットです。
ビッグシルエット・ワイドシルエットの流行は途絶えていませんが、あまりにも長くそのトレンドが続いたため、昨今ではその反動としてフレアパンツの人気が再燃しています。
しかしフレアパンツは慣れていないとなかなか着こなすのが難しいものですが、この程よいフレア感を持つラングラー『ランチャードレスジーンズ』であれば、違和感なく取り入れられるというわけです。
またフレアパンツを試してみたいけどまだイマイチ自信がないという人でも、手頃な価格なので手軽にチャレンジできることができます。

それでは、ラングラー『ランチャードレスジーンズ』を取り入れた着こなしについて、いくつか考えてみましょう。

もっとも好相性なトップスは、少しルーズなシルエットを持つアイテムです。
ビッグサイズのスウェットパーカやシャツなどを合わせ、ゆるっとした着こなしをすると、今っぽいオシャレ感を演出できるはずなのでぜひ試してみてください。

ラングラー③
photo:BrianAJackson/iStock

汎用性の高さが魅力

もともとはカウボーイやロデオライダーのドレスアップ用パンツであったというルーツを尊重し、トップスに少し綺麗めなアイテムを合わせるのもおすすめです。
ジャストサイズか少しタイトめのテーラードジャケットを合わせれば、ビジネスシーンやパーティなどのオンタイムにも使えるでしょう。

ハードな雰囲気のコーディネートでも大活躍します。
特におすすめなのは、ライダースジャケットとの組み合わせ。
なにしろ60年前から変わらぬデザインで、オーセンティックな雰囲気を醸し出すパンツですので、ショットやルイスレザーズなどの老舗ライダースジャケットと合わせれば、極上のコーディネートになることは請け合いです。

足元にカウボーイブーツを合わせるのは少々やり過ぎかもしれませんが、ブーツと相性のいいフレアシルエットですので、編み上げブーツやエンジニアブーツを合わせるのもいいのではないかと思います。

センタープリーツのドレス感があえての外しとなるので、スケーターっぽいスポーティなコーディネートに使ってもオシャレ。
これから暖かい季節になってきたら、スケーターブランドのロゴが効いたルーズなTシャツに合わせ、足元はローテクスニーカーなどいかがでしょう。

このように、さまざまな着こなしに使える汎用性の高さも『ランチャードレスジーンズ』の大きな魅力。
カラーバリエーションも豊富なので、手元にある服に合わせて色を選ぶこともできるし、色違いで何本か揃え、その日の気分に合わせてセレクトするのもおすすめです。

オシャレ上級者からも熱い支持を受けるパンツですので、ぜひこの機会にワードローブに加えてみてはいかがでしょうか。

ラングラー④
photo:Agnes Happen/flickr

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