#24 Tevaの誕生秘話 元祖スポーツサンダルとは?
テバ看板

2024.6.28

Tevaの誕生秘話
元祖スポーツサンダルとは?

佐藤 誠二朗さんメンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新」が発売。
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

Tevaから始まったスポーツサンダル

みなさん、夏は好きですか?
最近の日本の夏の暑さはほとんど殺人的とはいえ、私はやっぱり四季の中で夏が一番好きです。
心も体も解放され活動的になる夏。そんな夏にぴったりな履き物が、「スポーツサンダル」ではないでしょうか。

スポーツサンダルとは。
辞書っぽく説明をすると「アウトドアシーンやレジャーシーンで履くことを目的としたサンダル」のことで、一般的なサンダルよりもソールやアッパーの機能性がずっと高く、アクティブに動くことが可能。なおかつ運動時、足にかかる負担が少なくなるように設計されたサンダルを指します。

現在、さまざまなブランドがスポーツサンダルをリリースし、世界中の老若男女がぞって愛用していますが、その元祖はといえば、1984年にTevaが正式リリースしたストラップ付きサンダルなのです。

ではTevaというブランドの歴史を紐解きつつ、スポーツサンダルの事始めに思いを馳せてみることにしましょう。

Tevaの創業者は、マーク・サッチャーというアメリカ人です。
彼はブランド創設前、地球物理学者でありながらグランドキャニオンにおいてリバーガイドを務めていたのですが、常々、川でのラフティング中に履くシューズに不満を感じていました。

スポーツ用のスニーカーは動きやすいものの、濡れると途端に重くなるし、一旦濡れてしまうと完全に乾くまで何日もの時間を要します。
水辺で使うことを想定した履き物といえば、当時はビーチサンダルしかありませんでした。でもビーチサンダルはスポーツ用ではなく、リラックスして履くことを目的とした簡易的な履き物なので、川の流れの中では簡単に足から滑り落ちてしまいます。
ラフティングをしている最中にサンダルが脱げてしまうと、せっかくのスポーツの楽しさが損なわれるだけではなく、思わぬ事故を引き起こす危険もありました。
こうした問題を解決するため、マークは一計を案じます。

テバ①
photo: Grand Canyon National Park/flickr

特許を取得したストラップシステム

マーク・サッチャーは従来のトングサンダル(ビーチサンダルのような鼻緒がある草履型サンダル)に、時計のベルトのような速乾性のあるナイロン性アンクルストラップを取り付けることを思いつきました。
そしてマークが手作りした“ストラップ付きサンダル”の試作品はたいへん調子が良く、目にした人々からの評判も上場だったため、彼は商品化を試みます。

当初は既存の靴メーカーに売り込み、ヘブライ語で「自然」を意味するTevaという名のブランドを立ち上げたマーク。そしてサンダルの製造が開始され、画期的な「水陸両用ユーティリティサンダル」として市場に投入されることになりました。
しかしこの最初期のTevaサンダルは、ユーザーから不満の声が上がることが多かったそうです。ストラップで固定したことが仇となり、「足の親指と人差し指の間に水ぶくれができる」と言われたのです。
そのため、初年度のTevaサンダルはたったの200足しか売れなかったそうです。

ところが1984年になると、アメリカの若者の間でTevaサンダルがにわかに流行しはじめ、急速に需要が高まります。
この機にマークは靴メーカーから離れ、アリゾナ州のフラッグスタッフにおいてTeva社を設立。
ユーザーからの不満に対しては、鼻緒のあるトング型をやめ、足先もベルトで固定する形へ改良することにより対応します。
ここからいよいよ、Tevaサンダルの本格的な快進撃が始まります。

Tevaサンダルに搭載されたストラップは、サンダルが滑り落ちるのを防ぐために足首に巻き付けるヒールストラップと、怪我をしやすい不自然な姿勢でサンダルが伸びるのを防ぐサイドストラップが含まれ、各ストラップは三角形のリングで接続されます。
この構造は「ユニバーサル・ストラッピング・システム」と名付けられ、1985年に特許を取得。Tevaの独占製造権が認められています。

「ユニバーサル・ストラッピング・システム」は現在も、機能性だけではなくデザイン的にも優れたものと高く評価されていて、Tevaサンダルの象徴となっています。

テバ②
photo:Xperia2Days/flickr

二つのベストセラーモデル

Tevaのスポーツサンダルは高度な安全性と機能性により、アクティブなライフスタイルを送る人々から絶大な支持を受けるようになりました。

それを受けてTevaは、「To Play(楽しむ)」「To Protect(守る)」という二つの考え方を基礎に、積極的な商品開発を行っていきます。
川や海などの水辺は楽しい遊び場である一方、滑ったり濡れたりして危険を伴う場所でもあります。リバーガイドとしての豊富な経験を持つマーク・サッチャーは、そうした環境を熟知していたため、グリップ力に優れた滑りにくいアウトソールや、衝撃吸収性・速乾防水性に優れたEVA素材のインソール、抗菌・防臭性素材などの技術を開発し、製品に惜しみなく投入していきました。

そうしたTevaサンダルの中から、まずは大定番である二つのベストセラーモデルをピックアップしましょう。

最初のスポーツサンダルに改良を加えた「ハリケーン」というモデルは、ブランドを代表する定番アイテムとして、今も世界中に数多くの愛用者がいるマスターピースです。

「オリジナル ユニバース」というモデルは、ブランドの原点であるファーストモデルの復刻版で、「ハリケーン」と比べてソールの構造がシンプル。ビーチサンダルのソールを彷彿とさせるものです。

【テバ】
【テバ】

「ハリケーン」と「オリジナル ユニバース」はともに、Tevaのブランド設立のきっかけとなったユニバーサル・ストラッピング・システムを有するモデルです。
このスタイルのサンダルは、水辺やアウトドアシーンだけでなく、どんなシチュエーションでも履ける汎用的かつおしゃれなスポーツサンダルとして、多くの人々に愛用されています。ソックスと合わせても非常にスタイリッシュで、夏だけでなく一年を通して履けるという意味でもおすすめです。

現在のTevaはそれ以外にも、川や海など水辺でのアクティビティで使われることを念頭に、新しいアイデアや技術を惜しみなく投入したアイテムを市場に投入し、アウトドアシューズ業界をリードしています。次の項では、そうしたモデルを見ていきましょう。

テバ③
photo:Ritzo ten Cate/flickr

バリエーションに富むTevaサンダル

「ボヤ フリップ」は、いわゆる“ビーチサンダル型”。鼻緒のあるトングサンダルです。衝撃吸収性に優れ、履き慣らしていくうちに足裏にカスタムフィットし、“一度履いたらやめられない心地よさ”を提供してくれる低反発クッションソールを備えているのが特徴です。ストラップ部は、速乾性・耐久性にすぐれた再生ポリエステルウェビングベルトを使用。肌に優しい柔らかい素材なので、指のまたに水ぶくれができる心配はありません

【テバ】

「ザイミック」は、Tevaが得意とするかかとを固定するストラップシステムを持つモデル。ソールはクッション性に優れたTeva独自の「MAX-COMFテクノロジー」を搭載したフッドベッドと、柔軟性が高いアウトソールで構成されています。ストラップはふわふわとした中綿入りなので、足を入れた瞬間から快適な履き心地。アウトドアシーンはもちろん、長時間履いていても疲れないので、旅行などにもおすすめのサンダルです。

【テバ】

「ハリケーン ドリフト」は、一見するとTevaの代表的モデルである「ハリケーン」と同じように見えますが、実はストラップとソールのつなぎ目をなくし、EVA素材で一体成形されているユニークなサンダル。軽量かつ水濡れに強く、またデザイン的にポップでおしゃれなので、あらゆるシーンで使える万能モデルです。雨が降ると地面がドロドロになり、複雑な構造のサンダルでは汚れを落とすのが大変な夏フェスにもってこいなのではないでしょうか。

【テバ】

「ミッド ユニバーサル」は、前項でご紹介した「オリジナル ユニバース」の厚底モデル。履き心地が良く見た目もスタイリッシュな厚底サンダルは、トレンドが続いています。
Tevaの「ミッド ユニバーサル」は、厚底といってもソール高は約3cmとバランスのいい形状ですので、タウンユースでもいい雰囲気を醸し出せそうです。

【テバ】
【テバ】

そして最後は「ハリケーン バージ スライド」。こちらは、Tevaの大定番「ハリケーン」のソールはそのままに、脱ぎ履きしやすいスライド型のアッパーを採用したモデルです。
スライド式といってもバックルベルトで締め付けることができるので、フィット感を簡単に調整できるのが特長。リラックスしたいときに最高ですね。

【テバ】

バリエーション豊かなTevaサンダル、まさに夏のおともにぴったりです。お気に入りは見つかりましたか?

テバ④
photo:Hillary h/flickr

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