#21 日本で注目のブリクストン、その魅力と人気の秘密とは?
ブリクストン看板

2024.5.31

日本で注目のブリクストン、その魅力と人気の秘密とは?

佐藤 誠二朗さんメンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん

メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新」が発売。
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?

ブランド名の由来は……

ブリクストンは、アメリカ・ロサンゼルス南部の町オーシャンサイドにて、2004年にスタートしたブランドです。
創設者は、双子のデイビッド&ピーター兄弟とその仲間たち。
彼らは自宅のガレージからブランドをスタートさせています。

ブリクストンが最初に発表したのは、ハンチングタイプの“ニュースボーイキャップ”で、「フーリガン」という商品名が与えられました。
その後はキャップを中心に置きながら多方面のアイテムをリリースしていき、そのどれもが非常に高いクオリティだったため、さまざまな層に支持を広げていきます。

ブランド名は、1970年代後半に登場したロンドンパンクの代表格バンド“ザ・クラッシュ”の曲、『ガンズ・オブ・ブリクストン』に由来しています。
イギリスのサブカルチャーである“スキンヘッズ”と直結する「フーリガン」という商品名や、こうしたブランド名の謂れを見ると、ブリクストンはLAのブランドでありながら、ブリティッシュカルチャーにも深く通じていることが伺えます。

ちなみに『ガンズ・オブ・ブリクストン』は、ロック史に残る名盤として名高き、ザ・クラッシュのサードアルバム『ロンドン・コーリング』に収録されているレゲエ調の楽曲。
その当時レゲエに傾倒していたベーシストのポール・シムノンが初めて作曲し、みずから歌った曲として、ロックファンの間では知られています。
ブリクストン(BRIXTON)とは、アフリカ系移民が多く住むロンドン南部の地区の名前で、「ガンズ・オブ・ブリクストン」は“ブリクストンの要塞”という意味になります。

そして、実はこの曲にも元ネタがあります。それは、1961年に公開された米英合作映画『ザ・ガンズ・オブ・ナバロン(ナバロンの要塞)』および、映画に触発されザ・スカタライツが1964年に発表した楽曲『ガンズ・オブ・ナバロン』。
そのザ・スカタライツとは、レゲエのご先祖であるスカを世界で初めて演奏したバンドなので、ここでいろんなことがつながるのです。

ブリクストン①

特筆もののコカ・コーラコラボ

ブリクストンという21世紀生まれのブランドをちょっと紐解くと、こんな風に歴史をさかのぼって深追いしたくなるのは、本コラム執筆者である私自身が、このあたりのカルチャーが大好きだから。
というわけで余談にふけってしまいましたが、話を元に戻しましょう。

サブカルチャーを愛するクリエイター集団が立ち上げたブリクストンは、ミュージシャンやアーティストから旅人、職人などに至るまで、さまざまなバックグラウンドを持つユニークな人たちに支持され、ブランド側も彼らに刺激を受けてインスピレーションの幅を広げていきます。

ブリクストンのリリースするアイテムの特徴は、古着のような趣のある“ヴィンテージ感”という縦軸を持ちつつ、さまざまなカルチャーを愛する人にピンとくる仕掛けが随所に施されているところです。

ひとつのTシャツを例に取っても、中厚手のコットンを用いウォッシュ加工をすることで、ブリクストンらしいヴィンテージ感を際だたせたりしています。
あるショートパンツは、古着のワークパンツを彷彿とさせるような、さりげないセンタープリーツ加工が施されています。
ファンにとっては、こうした細かな仕掛けがいちいち心に刺さるわけです。

近年のクリエイティブで、ブリクストンがその本領を発揮している具体例を挙げるとするなら、コカ・コーラとのコラボアイテムでしょう。
レトロなタンカラーにグリーンのストライプが映えるシャツ&カーペンターパンツは、1970年代にコカ・コーラのデリバリースタッフが着ていたユニフォームを再現したもの。ヴィンテージ感が漂い、古着アイテムのような趣となっています。
左胸には「Enjoy Coke」のコカ・コーラパッチ、そして本物のユニフォームだったらスタッフの名前が示されているであろう右胸には、ブランドロゴが刺繍で施されているのも、憎い演出です。

同コラボシリーズからは、コカ・コーラパッチが施されたデリバリースタッフキャップや、「Have a Good Day」というおなじみのキャッチフレーズがプリントされたTシャツもリリースされていて、アメリカンカルチャー好きは放っておけないラインナップになっています。

【ブリクストン】
【ブリクストン】
【ブリクストン】
【ブリクストン】
【ブリクストン】
【ブリクストン】
ブリクストン②
photo:Matthew Paul Argall/flickr

ブリクストンのベースは「帽子」

ちなみにですが、ブリクストンとのコラボアイテムでも一際目立つコカ・コーラのロゴは、1886年にフランク・M・ロビンソンという人がデザインしたもの。独特のスクリプトフォント(筆記体)による「Coca-Cola」の文字は、最初に作られたときからほとんど変わっていないそうです。
また「Coke」という愛称は、20世紀初頭から自然発生的に使われ始め、1940年代にコカ・コーラ社が公式採用。1941年にはロゴも公式にデザインされ、コカ・コーラ社の広告や製品に使用されるようになります。ブロック体の「Coke」ロゴはモダンで、親しみやすく覚えやすいことから若年層に深く浸透したそうです。

そして1960年代になると、「Coke」という愛称をより積極的にプロモーションする広告キャンペーンが行われます。
筆記体の「Coca-Cola」ロゴにはヴィンテージを感じ、ブロック体の「Coke」ロゴには50's〜60'sらしいカルチャーを感じるのは、こうした歴史的背景があったのですね。

おっと。
またしても話が脱線しているので、ブランドに焦点を戻しましょう。

すでにご紹介したように、ブリクストンは帽子から始まったブランドですので、幅広いアイテムをラインナップする現在でも、帽子の人気が非常に高いようです。

オーセンティックな雰囲気のベースボールキャップは、シルエットも素材も多様で、快適なフィット感を提供するもの。ロゴが刺繍されたシンプルなデザインから、ヴィンテージ感が色濃いデザインまで、様々なバリエーションが揃っており、日常のコーディネートにアクセントを加えるアイテムとして重宝されています。

【ブリクストン】
【ブリクストン】
【ブリクストン】

夏の定番アイテムとして、ストロー素材のハットも愛されています。軽量で通気性に優れたストローハットは、暑い季節に最適なうえ、リゾートスタイルやビーチファッションにぴったり。ブリクストンらしいヴィンテージ感あふれるデザインは、夏の装いを一層魅力的にしてくれます。

【ブリクストン】
【ブリクストン】

ブリクストンの帽子は単にスタイリッシュであるだけでなく、その品質の高さも魅力。耐久性に優れた素材を使用し、細部にまでこだわった仕上げが施されているため、長く愛用することができます。

ブリクストン③
photo: Jérémi Roy/flickr

日本でのブレイクも近い?

ブリクストンは本国アメリカでの人気の高さと比べると、日本での知名度はまだまだ低いようですが、ブレイクする要素を大きく秘めたブランドだと言っていいでしょう。

ブランド最大の魅力は、なんと言ってもそのタイムレスなデザイン性。クラシックなスタイルと現代的なトレンドを絶妙に融合させたアイテムが揃っているのです。
タイムレスなデザインのアイテムはいつまでも古びることがなく、長く愛用できるのがいいところ。
特にハットやキャップなどのヘッドウェアは、ヴィンテージ感とモダンさを兼ね備えたデザインが特徴で、日本でもすでに多くのファンに支持されています。

品質へのこだわりもブリクストンの魅力です。素材選びから製造に至るまで、細部にまで注意を払い、高品質な製品を提供しているのです。
夏物ももちろんですが、アウターウェアやデニムも素晴らしいものが揃っているので、季節が巡って冬になったらまたチェックすることをおすすめします。

そしてそして、ここがブリクストン最大のキモだという人が多い(私自身も含め)と思いますが、このブランドのアイテムは多様なライフスタイルに対応し、常にカルチャーの香りが漂っているのがいいところです。それゆえにスケーターからサーファー、ロックファンに至るまで、様々なカルチャー好きに愛され、都市生活からアウトドアアクティビティまで、幅広いシーンで活用されているのです。

ブリクストンは創業以来、音楽、アート、スポーツなど、様々なコミュニティと積極的に関わりを持ち続けています。
このコミュニティ意識は、単なるファッションに留まらず、カルチャー全体の一部として存在しているという感覚をユーザーに提供しています。

ブリクストンは今後ますます多くの人々から支持され、愛されるブランドとしての地位を確立することでしょう。
今こそあなたも、そのコミュニティの一端に加わるチャンスなのかもしれませんよ。

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ブリクストン④
photo:MattGush/iStock

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